12時半を回る頃、大道具を片付け終わったら解散という流れになり、教室内から徐々に人が消えていく。
その間も、衣装を脱ぎながら考えを巡らせていた俺は、あるひとつのことに思い当たった。
──土曜日、琉依と一緒にいたあの女子。
まさか、あれがナノだったのか?
「如月くん」
半信半疑な気持ちで、見るともなく手にした衣装を眺めていると名前を呼ばれた。
振り向けば、にこりと笑う藍原がいる。
周りを見回すと、いつの間にか教室内には俺達ふたりしか残っていない。
藍原は今にも吹き出しそうな顔で、深紅のポンチョを指差して言う。
「似合ってたよ、それ」
「半笑いで言うな」
若干イラッとしながら、教室の後ろに置かれた段ボール箱の中に衣装を放り投げた。
そのまま帰ろうとしたものの、動く気配のない藍原に問い掛ける。
「帰らねーの?」
「菜乃が着替えるついでにトイレ行ってくるっていうから、それ待ち」
ふーん、と短く返して藍原の前を通り過ぎようとすると、彼女は俺の顔を覗き込んでこんなことを言う。
「ね、今日の菜乃ちょっとメイクしてたんだけど、可愛いと思わなかった?」
その間も、衣装を脱ぎながら考えを巡らせていた俺は、あるひとつのことに思い当たった。
──土曜日、琉依と一緒にいたあの女子。
まさか、あれがナノだったのか?
「如月くん」
半信半疑な気持ちで、見るともなく手にした衣装を眺めていると名前を呼ばれた。
振り向けば、にこりと笑う藍原がいる。
周りを見回すと、いつの間にか教室内には俺達ふたりしか残っていない。
藍原は今にも吹き出しそうな顔で、深紅のポンチョを指差して言う。
「似合ってたよ、それ」
「半笑いで言うな」
若干イラッとしながら、教室の後ろに置かれた段ボール箱の中に衣装を放り投げた。
そのまま帰ろうとしたものの、動く気配のない藍原に問い掛ける。
「帰らねーの?」
「菜乃が着替えるついでにトイレ行ってくるっていうから、それ待ち」
ふーん、と短く返して藍原の前を通り過ぎようとすると、彼女は俺の顔を覗き込んでこんなことを言う。
「ね、今日の菜乃ちょっとメイクしてたんだけど、可愛いと思わなかった?」



