夏休みは毎日のようにバイトを入れてもらったが、劇の打ち合わせをしようと声をかけられ、一日だけ学校へ行くことになっていた。


マジでかったるい。

けど、いろんな準備をしてる皆に比べれば断然ラクだろう。

よくやるよなアイツら……こういう時だけ一致団結しやがって。

俺達を主役にして何が面白いんだか。


心の中でグチりながら学校へ向かっていると、ふと琉依の言葉が蘇る。


『白雪姫は、王子のキスで目を覚ましました……とさ』


……あぁ、そうだった。

きっとそれをやらせたくて皆張り切ってんだな。


「やるわけねぇっての」


頭を抱えつつ、怒りを込めて呟く。

くそ……そんな内容だって知ってたら、あの時猛反対しておくべきだった。


劇が決まった時、あの盛り上がりなら、きっと俺達がどれだけ反対しても結局やることになるだろうと思って、文句は言わなかった。

白雪姫って名前がついてるくらいだし、どうせお姫様がメインなんだろうと軽く考えてもいた。

それを今さらながら後悔するぜ……。