それでも、これまですべての元カノと後腐れなく、円満に関係を終えていることがすげぇ。もう一種の才能かもしれない。

まぁとにかく、草食っぽい優しげな外見からは想像もつかない肉食の男なんだ、コイツは。

まだ転入してきて間もないし、大半の女子は騙されているだろう。

もちろん、本人は騙してるつもりもないんだけど。


そんな琉依のことだから、今回も絶対付き合っているんだと思った。

ずっと前から琉依の手癖の悪さは知っているし、俺は何も口出しするつもりはない。

それなのに、何でコイツは言い訳みたいなことを……。


「あのね、心入れ替えたの僕。これからは、本当に好きなコとは慎重に付き合おうと思ってるから」


どういう心境の変化なのか、マジメに訴えてくる琉依。

今さら純情ぶらなくても……と思いつつも、一応ふーんと頷く。


「じゃ、あの時一緒にいた子が本命ってことか。琉依のクラスの子?」


見たことない子だったなと、一瞬見ただけの女子の姿をうっすら思い返しながらそう言った。

すると、なぜか琉依が目を見開いて俺を見ていることに気付く。


「……もしかして、奏……」


突然真顔で見つめてくるなよ、なんか気味悪いだろ。