目立つ琉依と一緒にいると必然的に注目されるから、あまり人前で話したくないんだが。


「Good morning,奏!」

「……はよ」


流暢な英語を交えた、若干ウザい喋り方にも慣れて、俺は普通に返した。

いつものように明るい琉依は、俺の肩に腕を回し、耳元で言う。


「ちょっと話したいことがあるから、昼休みまたあの場所行っていー?」


話したいこと? しかも屋上でなきゃいけないのか?

まったく心当たりがなく、疑問に思いながらもとりあえず頷く。


「いいけど……」

「Thank you! じゃ昼休みにねー」


さっさと約束を取り付けて笑顔で去っていく琉依を、俺は首をかしげたまま見送った。


そして、迎えた昼休み。

すっかり夏らしくなった太陽が照り付けるこの時間は、日陰にいてもさすがに暑い。

屋上で過ごすのはそろそろやめるか、と汗を滲ませながらぼーっと考えていると、約束通り琉依がやってきた。


「あっついねー。そろそろどっか冷房効いたとこに場所移した方がいいんじゃない?」

「あぁ……今考えてたとこ」


さすがの琉依も気だるげに汗を拭いながら、俺の隣に腰を下ろした。