くるんと上がったまつげのおかげか、いつもより二重がぱっちりしていて、ラメが入ったアイシャドウで瞳が潤んで見える。

肌も白くつるんとしているけど、ほっぺがうっすら赤く色付いていて可愛らしい。

眉毛も綺麗に整えられているし、唇も桜色に潤っているし……。


「……だれ?」

「ね? そうなるでしょ、この変わりようは」


キラキラした見慣れない自分の隣に、得意げな笑みを浮かべた文ちゃんが映り込む。


「めちゃくちゃ可愛いよ、菜乃。ほんと別人」

「すごい……文ちゃん上手」

「違うよ。全然メイク濃くないし、菜乃の顔立ちがもとからいいんだよ。ダイヤの原石だって言ったじゃん」


あ、それってそういう意味……?

いやいや、顔立ちがいいだなんて親にも言われたことないし、もちろん自分でも思ったことはない。

なにせ、鏡を覗くことがほとんどないし。


でも、今メイクしてもらった私は。

自分で言うのはおかしいし、自惚れかもしれないけど……

ちょっと可愛い、かも……。


食い入るように鏡を見つめていると、文ちゃんが壁に掛けられた時計を見てはっとする。