紺色と白のボーダーで、アクセントに小さな赤いリボンがついた、文ちゃんらしいおしゃれなポーチだ。


「どうしたの? 可愛いポーチ」

「これは秘密のアイテムが入ってるの。今から菜乃に魔法をかけてあげるから」

「なんか文ちゃん、急に乙女なこと言い出して怖い」


ほんの少し眉をひそめる私に構わず、ニヤリと笑う文ちゃんは、ポーチの中からいろいろな秘密のアイテムとやらを取り出した。

そして、それを私の肌に塗ったりはたいたり。

……ってこれ、メイクさせられてる!?


「うーん、やっぱり普段してないせいか、肌がキレイだからノリがいいわ」

「ふ、文ちゃん! 何で私にメイクなんか……!?」

「やりたくなったの。はい、目閉じてー」


えぇ~そんな理由?

なんとなくふに落ちないものの、されるがままマスカラを塗られ、チークまでつけられていく。


そして、十数分後。


「うーわ、あんた誰?」

「え!? ちょ、どんなふうにしたの!? 鏡よ、鏡!」


無意識に魔女みたいなことを口走って、棚の上に置いてある鏡を覗き込んだ。

そして目が点になる。