軽く頭痛を覚えつつ、苦笑いしながら答える。


「白雪姫のパロディーの“眼鏡姫”だって」

「へ~そりゃまたアブノーマルな。でも何でそんな他人事?」

「私達はかやの外だから……」


すごく仲の良いクラスというわけでもないはずなのに、この件に関しては一致団結っぷりがハンパじゃないんだもん。

それ以上は何も言おうとしない私の代わりに、文ちゃんが私と如月くんを指差しながら口を開く。


「このふたりが主役なの。で、周りの皆が面白がって勝手に進めちゃってるんだよね」


それを聞いた琉依くんは目をまん丸にして、むすっとしている如月くんと私を交互に見る。


「え、奏が主役!? てことは王子様!? すげー、永久保存版じゃん!」

「興味ありまくりだよねー」


ニヤニヤして言う文ちゃんとふたりで盛り上がっているけど、王子様の眉間のシワはどんどん濃くなっていく。

けれどそれも気にせず、琉依くんはこんなことを言い出した。


「しかも白雪姫っていったら……当然あるんだよね? あの名シーン」


──ドキッ。

主役ふたりが揃っているここでそれを言っちゃいますか!