屋上に来るということは、如月くんの素性もバレてしまうわけで。

文ちゃんも誘おうという琉依くんの提案に、もちろん最初は断固拒否されていたのだけど、彼女は絶対信頼できるから!と私も説得した。

文ちゃんにこれ以上いろいろ内緒にしているのは苦しかったし、打ち明けるいい機会になると思って。


『バラしたら女でも容赦しねぇ』と恐ろしすぎる牽制をされたけど、なんとかお許しを得たのだった。


「……ま、藍原には劇やるって時に一応止めてもらった恩があるしな」


迷惑そうな顔をしていた如月くんだったけど、仕方ないというようにそう言った。

やっぱり妙に義理堅い彼はちょっと面白くて、したり顔をする文ちゃんと笑い合った。


あー……私、本当はずっとこういうのに憧れてたんだ。

屋上で皆でご飯食べたり話したり、こういうキラキラした青春みたいなこと。

遠い世界だと思っていたけど、今自分がその中に入れているなんて、すごく嬉しい。


ほくほくしながら私もお弁当を食べ始めると、文ちゃんの左側に座る琉依くんが何気なく聞いてくる。


「そういえば、劇って何やるの?」

「あー……」


それはあんまり考えたくない話題だ……。