文ちゃんは何気に琉依くんのことが気に入ったみたいで、私はちょっと嬉しかったりする。

あれからたびたび私達のもとに現れる琉依くんに、少しずつ免疫が出来てきたみたいで、今では普通に仲良しだ。

私も彼に言われて名前で呼ぶようになったし。

アメリカンな挨拶は、如月くんに止められて以来、なんとか自制してくれているようで助かってるけど。


琉依くんを見送り、私達は逆方向へ向かおうとすると、「あ、そうだ!」と彼の声がして同時に振り返った。


「昼休み、例の場所で」


にこりと笑ってそう言う琉依くんに、私と文ちゃんは目を見合わせる。

その意味をすぐに理解した私達は、親指と人差し指をくっつけて丸を作り、“OK”のジェスチャーをした。



昼休み、約束通り私達は琉依くんに指定された場所へと向かった。

人目を気にしてコソコソと移動するそこは、もちろん屋上。

実は、文ちゃんも来れるようにと、琉依くんが如月くんのお許しをもらってくれたのだ。


なんとかバレずに階段を上りきり、屋上のドアを開けると、暑い日差しが私達を歓迎する。

先客の男子ふたりはパンやジュースをお供に、日陰であぐらをかいていた。