如月くんに恋に落ちて以来、私の生活は一変してとっても色付いたけれど、アメリカンな彼が来てからはさらに華やかになりつつある。

しかも、文ちゃんを巻き込んで。


「あ、菜乃ちゃん、文ちゃん! Hello~」

「また来たよ」


ジャージを持って教室を出たところで、たまたま通り掛かった琉依くんと遭遇。

呆れたように呟く文ちゃんだけど、私と彼は気にせずのほほんと笑う。


「4組はこれから体育? 僕は調理実習」

「へぇー。何作んの?」

「シフォンケーキ! いいでしょ」

「じゃ後で配給よろしくー」

「OK!」


ものすごくナチュラルに会話をする琉依くんと文ちゃんを、私は口元を緩ませつつ静観していた。

軽くバイバイをして笑顔で去っていく彼に私も手を振り返しながら、隣の文ちゃんに話し掛ける。


「文ちゃん、最初琉依くんのこと苦手かと思ったけど、意外と息が合ってるよね」

「んーまぁ、あたしアメリカ人好きだし」

「彼日本人だけどね」


あっけらかんと言う文ちゃんに、珍しく私がツッコミを入れてしまった。