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「恭!本気で言ってんの!?」


その日のミーティングは、久々の幹部全員集合になった。


でも、みんなそれどころではなくて、恭の言葉に驚きを隠せない様子。



「本気だよ。今年の大暴走は、茉弘にも参加してもらうつもりです。」



みんなが驚く一方、恭は淡々と答える。


そして、みんなの視線がゆっくりとあたしへと移ってくる。


「茉弘ちゃん本気?怖い思いするかもしれないよ?あんまり普通の女の子が来るような所じゃないし……ましてや、もし姫に何かあったら……」


心配してくれる春馬。


こういう時、春馬は本当に優しいなって思う。


本気であたしの身と、煌龍の心配をしてくれてるんだ。



そんな春馬にあたしはかぶりを振る。



「ううん。いいの。大丈夫。
みんなが居ればあたしは大丈夫。
それに、姫としては細心の注意を払うつもりだよ。みんなの側を絶対に離れない。」


「それならいいんだけど……。
でも、どうして急にそんな……」


春馬の質問にどきりとする。



"葛原に近付けない為"……


そんな事言えるわけがない。


そんな事を言ったら、あたしと葛原の関係がバレてしまう。


他の理由を探していると、


「茉弘は、恭と居たいんだよね。」



にんまりした百合さんと目が合って、ウインクされる。


恭は豆鉄砲を食らったような顔。


「あんたらさ、そんな沢山敵の居る場所に大切な人を送り出す女の身にもなってみ?
茉弘はさ、そんな汐らしく旦那の帰りを待ってられるような奴じゃないわけ。それだったら、好きな男に付いて危ない思いも何もかも共有したい。そういう女なの。」



ちょっ。


百合さん好き好き言い過ぎっ!


これじゃあたし、めちゃくちゃ恭が好きでたまらないみたいな…


いや、間違ってはいないんだけどっ!


何かめちゃくちゃ恥ずかしいっ!



恐る恐る恭を見ると、思い切り目が合う。


嬉しそうにヘラっとした顔で、首を傾けて見せる恭。


「そうなんだ?」とでも言いたげな顔。