その日もそうだ。


朝から母親に"お前なんか生まなきゃ良かった"って言われた。


全部お前が勝手にやった事だろ。


こんなバカ生んだのはお前だ。



ムシャクシャして仕方なくて、授業なんか受ける気は毛頭なくて、サボる気満々で来た裏庭。


--------ガシャン!!!


思わず体が跳ねるようなすげぇ音がして、音の出所を探す。


植木の影で何かが動いたのが見えて、そっと様子を窺う。


目の前に現れた光景を見て、俺の体に電流が駆け巡る。



何人もの男が倒れてる。


その真ん中に、返り血で制服のシャツを染める、俺と同じ年くらいの男。


顔についた血を袖で拭いながら、俺に気が付いてこっちに顔を向ける。


色素の薄い焦げ茶の髪に、鋭い目。


女子がキャーキャー言いそうな顔立ちしてるけど、こりゃ誰も近寄れねぇな。


こいつから出てる威圧感は尋常じゃない。


「何お前。
これ全部お前がやったの?」


「………」


「すげぇな。全部高校の連中だろ?
強いのな。」


「………」


このやろ。


シカトかよ。


目の前の男は、自分の鞄を拾い上げ俺に背を向ける。