漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】

「親父は、母さんが死んでからまるで別人のようになりました。
何事にもやる気がなく、腑抜けた状態が今でも続いています。周りの連中のお陰で、辛うじて組を存続させてはいますが、残ったのは親父を信じて、昔から慕ってくれていた連中だけ。

親父はさぞ後悔したんでしょうね。自分のせいで大切な人を失ったんですから。まぁ、自業自得で同情する余地もありませんが…」


話を聞く茉弘は、悲しげな表情で地面に目を落としている。


「俺はというと、親父とはまるで反対で、母さんを失ったその時から怒りや悲しみが俺の原動力になっていました。
そして、物心がついた時には、ある一つの目標が出来ていた。」


「目標…?」


「母さんが死にゆく間、親父が没頭していたあのバカな賭け事自体を消滅させる。

つまり、賭ける対象を消滅させるという事です」



「っ!それってつまり…」



「そう。あの場所にあった、7つのグループを全て消滅させる」


そう。


それが俺の本来の目的。




煌々と光輝く夜景の中に、少しぼやけた黒の部分。


俺が腕を伸ばしてそこを指差すと、茉弘の視線もそこへ向かった。


まるで茉弘の心の中を映すような済んだその瞳に、一瞬目が奪われる。


俺は一度だってあの闇の部分を、こんな瞳で見た事はないだろう。