漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】

右手には、握ったままの母さんの携帯電話。


父の番号をリダイヤルする。


コールが鳴り始める。



1回、2回、3回。



最後に見た母さんの顔が浮かぶ。


酷く胸騒ぎがした。



3回、4回、5回。



涙が、一つ二つと地面に落ちる。


母さんの声を思い出す。



6回、7回……





––––


「“助けになんか、来ないじゃないか…”」


「……っ」


「親父に…裏切られたような気分だったよ」



茉弘は口元を手で覆い、肩を震わせながら、


その目には涙を沢山溜め込んでいる。



こんな顔、させたくなかったんだ。


君は絶対に俺の分まで涙を流すから…。



「その後、警察に保護された俺は3つの事を知ることになるんだ。


一つ目は、母さんが男に刺されて死んだという事。


二つ目は、親父は母さんと俺がそんな事になっている時、くだらない賭け事をしていて電話に出られなかった事。」


「……え?」


茉弘の顔色が変わる。


だけど、俺は言葉を続ける。


「三つ目は、母さんを殺した相手は、その賭け事で親父に負け、その腹いせに俺を襲おうとしたという事」


「それって…!」