漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


あの日、線香花火に目を落とす茉弘の姿は今でも鮮明に覚えてる。


酷く儚気で、線香花火の火種ように今にも消えてしまいそうだった。


あの時茉弘は、沢山の事を抱えていたんだよな。


誰にも言えない秘密を胸に抱えながら、


その内容が明るみになるのをずっと恐れながらも、覚悟はしていた。


俺達と一緒には居られなくなる事を…。



今度は、俺の番だ…。


俺だって、いつかこんな日が来る事を、覚悟していたはずじゃないか。



「茉弘…。俺の昔の話、長くなるかもしれませんが、聞いてくれますか?」


じっと彼女の瞳を見詰めると、彼女は一度目を見開いて、何かを覚悟したかのように強く頷いた。


だから俺は、一つ一つ言葉を紡いでいく––––







俺は、斬龍会(ざんりゅうかい)三代目組長、栗山 洸四郎の長男として生まれてきた。


俺の親父に兄弟はなく、俺は待望の後継ぎ候補だったらしい。


そのせいで、俺は小さな時からかなりの英才教育を受けてきた。


勉強に関してもそうだけど、武術や護身術なんかは一通り習わされたかな。



闇の世界で生きていく術を、ただがむしゃらに身に着けていたのがその頃。


俺はまだ幼かったし、それが当たり前だと思っていたから、自分の状況に疑問を抱く事は一度もなかった。