*KYO side*
煌々と光輝く夜景の中に、少しぼやけた黒の部分。
俺は、ひたすらにその一点を見詰めていた。
漸く俺は、あの地区の全てを統べたんだ。
小さく吐いた息は、一瞬白く濁ると直ぐに闇に消えていった。
望んでいた事のはずなのに、気持ちは全く高揚してはくれない。
理由は自分でも大体分かってる。
あの頃の俺とは、もう違うんだって事を…。
側の茂みの葉と葉の擦れる音がして、俺は反射的に振り返った。
そこに立っていたモノを見て、俺の身体が硬直するのが分かった。
「茉……弘…」
何でここに茉弘がいるんだ。
「…こ…」
「…え?」
「こわがっだ(怖かった)ぁぁぁぁぁ!!!」
頭に木の葉を沢山つけながら、いきなりその場で踞る彼女。
俺は一瞬呆気にとられたが、直ぐに慌てて駆け寄った。
「何でここにいるんです!?一人で来たんですか!?」
腕を掴んで引き寄せると、彼女はフニャッとした顔を上げて笑う。
「うんっ。ここだと思ったから!」
「……っ」
「思いの外暗くて怖かったけど」と言って、えへへと笑う彼女を見ながら、俺は自分の理性と戦う羽目になる。
“抱き締めたい。”
そんな感情が溢れてくるからだ。



