漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】







*KYO side*



煌々と光輝く夜景の中に、少しぼやけた黒の部分。


俺は、ひたすらにその一点を見詰めていた。




漸く俺は、あの地区の全てを統べたんだ。



小さく吐いた息は、一瞬白く濁ると直ぐに闇に消えていった。




望んでいた事のはずなのに、気持ちは全く高揚してはくれない。


理由は自分でも大体分かってる。


あの頃の俺とは、もう違うんだって事を…。





側の茂みの葉と葉の擦れる音がして、俺は反射的に振り返った。


そこに立っていたモノを見て、俺の身体が硬直するのが分かった。



「茉……弘…」



何でここに茉弘がいるんだ。



「…こ…」


「…え?」


「こわがっだ(怖かった)ぁぁぁぁぁ!!!」


頭に木の葉を沢山つけながら、いきなりその場で踞る彼女。


俺は一瞬呆気にとられたが、直ぐに慌てて駆け寄った。


「何でここにいるんです!?一人で来たんですか!?」


腕を掴んで引き寄せると、彼女はフニャッとした顔を上げて笑う。


「うんっ。ここだと思ったから!」


「……っ」


「思いの外暗くて怖かったけど」と言って、えへへと笑う彼女を見ながら、俺は自分の理性と戦う羽目になる。



“抱き締めたい。”



そんな感情が溢れてくるからだ。