漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


昔、自転車に乗れるようになるのに散々苦労してたっけ。


あまりに怖がるもんだから、親父やお袋がもう乗れなくてもいいじゃないかと、諦めるよう宥めたくらいだ。


だけど、茉弘は諦めなかった。


泥だらけで傷だらけになりながら、恐怖と悔しさで唇を噛み締め、涙を流しながら、


何日も何日も練習し続けた。


結果乗れるようにはなったけど、茉弘が自転車に乗る所なんて、それっきり見なかったな。



昔から負けず嫌いで、こうと決めたらやり通す。


どんなに辛くても諦めることだけはしない。


頑固で真っ直ぐで、


それが俺の姉ちゃん。



俺の知っている数ある人間の中で、一番強い心の持ち主だと思う。



「潤。最近どう?鷹牙の再編は上手くいきそう?」


「まぁ、ぼちぼち…」



そう。



俺はあの後、鷹牙の総長になった。



鷹牙を一から作り直す為だ。



茉弘と恭(と呼べと言われたから呼んでる)には、煌龍に入るよう散々誘われた。


もちろん最初は俺もそうしたいと思っていたんだ。



だけど、鷹牙の中にも悪い奴ばかりじゃなくて、純粋に鷹牙を居場所にしてる奴らもいる。


そういう奴らの中には俺なんかを慕ってくれていた奴もいて、


鷹牙が煌龍に敗れた今、そういう奴らの行く末は真っ暗だ。


どうしても放っておけなかった。