*JUN side*
エンジン音がやたらと響く、暗くなり始めた住宅街。
その中にひっそりと建っている寂れたアパート。
その前の人気のない路肩にバイクを止めて、
俺はおもむろにフルフェイスのヘルメットを外す。
髪伸びてうざったいな。
そろそろ切らなきゃな…。
乱れた髪をかき上げながら目を移すと、
そこには申し訳なさそうに眉を下げ、片手を上げて立っている人の姿。
「忙しい時なのに、呼び出しちゃってごめんね」
「別にいーよ。それにしても珍しいね。茉弘がバイクを出してほしいなんて言うの」
「…うん。ちょっと、連れて行って貰いたい場所があるの…」
茉弘の憂いを帯びた表情を見ていれば分かる。
きっと、あの人の所へ行くんだろう
。
「決心はついたの?」
そう問いかける俺に、茉弘は小さく頷いた。
––––
俺は茉弘の案内の通り、バイクを走らせる。
後ろでは茉弘が必死に俺にしがみ付いていた。
相変わらず、こういう乗り物が苦手なんだな。
こういう所は昔となんら変わってない。



