漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


*JUN side*


エンジン音がやたらと響く、暗くなり始めた住宅街。


その中にひっそりと建っている寂れたアパート。


その前の人気のない路肩にバイクを止めて、


俺はおもむろにフルフェイスのヘルメットを外す。



髪伸びてうざったいな。


そろそろ切らなきゃな…。



乱れた髪をかき上げながら目を移すと、


そこには申し訳なさそうに眉を下げ、片手を上げて立っている人の姿。



「忙しい時なのに、呼び出しちゃってごめんね」


「別にいーよ。それにしても珍しいね。茉弘がバイクを出してほしいなんて言うの」


「…うん。ちょっと、連れて行って貰いたい場所があるの…」


茉弘の憂いを帯びた表情を見ていれば分かる。


きっと、あの人の所へ行くんだろう



「決心はついたの?」



そう問いかける俺に、茉弘は小さく頷いた。

––––






俺は茉弘の案内の通り、バイクを走らせる。


後ろでは茉弘が必死に俺にしがみ付いていた。



相変わらず、こういう乗り物が苦手なんだな。


こういう所は昔となんら変わってない。