ドクッと脈が跳ねる。
脈を一つ打つたびに、嫌な感情がじわりじわりと込み上げてくる。
「そんな勝手な理由で…私達兄弟を引き裂いたんですか?」
気付いた時には、そんな言葉が口を突いて出ていた。
お母さんお父さんが亡くなって、孤独ながらもあたし達は支え合って生きてきた。
潤がいたから、どんな状況でも耐えてこられた。
なのに…
それなのにそんな理由で、あたし達は引き裂かれたの?
この人を責めることが見当違いなのは分かってる。
だけど…
だけど……
「姉ちゃんの言いてぇ事は分かる。大人の事情に巻き込んで、悪かったな」
尚も冷静な面持ちの男は、そうあたしに謝罪をする。
そして、また冷たい目で放心状態でいる自分の息子を見下ろした。
「この馬鹿野郎は、栗山のとこのせがれにやられたんだろ?」
「そう…ですが…」
「姉ちゃんの願いはなんだ?」
「え?」
「栗山のとこのせがれは、なぜあんたの為に戦った?」
それは…
「恭達は…潤を取り戻す為に一緒に戦ってくれたんです」
そう言うと男は、「そうか。」と言って何かを考えるように瞳を閉じた。



