「この馬鹿息子が…。てめぇみてぇな馬鹿が、頭張ろうなんざ、100年早ぇ」
「っなっ…」
「散々俺の面子潰しやがって…。てめぇ、どう落とし前つけんだ?あ?てめぇみてぇな奴が後継ぎだと思うと、俺ぁ生まれて初めて恐怖ってのを感じるよ」
男はわざとらしく困った表情をしながら、自分の息子の頬を手の甲でペチペチと叩いた。
でも、目は真っ黒だ。
葛原は酷く怯えている様子。
そんな葛原をよそに、男はゆっくりとこちらを振り返ると、今度はさっきのは見間違いかと思うほど優しい笑みを向けた。
「あんたが、潤の姉ちゃんかい」
「……っ」
「潤と、良く似てるな」
そう言って、より一層柔らかく微笑むものだから、警戒しているこっちがバカみたいだ。
「よく…似てないと言われます…」
あたしがまだ警戒心を残しつつそう言うと、男はふっと楽しそうに笑った。
「うちの息子はどうも出来が悪くてな。姉ちゃんには散々迷惑かけたみてぇだな。
それに、お前にもな。潤」
男は、潤の頭をクシャリと撫でる。
「俺の後を継ぐのがあいつってのは、正直俺も心許なくてな。
だから、俺はお前を引き取った。もし将生が後継ぎとして機能しないのなら、お前を後継ぎにするつもりだった」



