男は恭に笑みすら見せている。
なんで?
どういうこと?
「あんなにちっさかったクソガキが、今じゃいっちょ前に族の頭ってか」
「そうからかわないで下さいよ。清四郎さん」
恭は、恥ずかしそうに眉を下げて笑っている。
–––––––“清四郎さん”
そう親しみすら篭っているような口調に、目眩すら感じる。
何で恭が、三豪会の組長と知り合いなの?
さっきこの男は、“栗山んとこの”って言ってた…。
恭のお父さんと何か関係してる……?
飲み込んだ唾がゴクリと嫌な音を立てて食道を下りていく。
恭は…何者?
今、私の目の前に居るのは……一体誰?
「おや…じ…。俺を助けに来たんだろ…?
そいつ…殺っちゃってよ…。潤の事も、連れてくって言うんだ…。俺の族もメチャクチャにされたんだよ…」
「将生…」
男は、ボロボロの姿で床を這う葛原に冷たい視線を落とす。
「おや…」
「甘ぇ事言ってんじゃねぇっ!!!」
葛原は助けてくれるものだと思っていたその男の言葉に、大きく目を見開いた。



