漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】



みんな訝しげな顔でその男を見るも、男の堂々とした態度に何となく何かを感じ取っているようで、



みんな戸惑いながらもゆっくりと恭に目を向けた。



「おぉ。いやがった」



男は、右の口角だけを上げて笑う。



その時、恭の足元に倒れている葛原が、蚊の鳴くような声で発した言葉に、私は思わず耳を疑った。




「おや…じ…」




……え?




今、なんて…?



自分の心臓の音が鼓膜の奥で煩く響き渡る。



葛原の…父親?


つまり……三豪会の……組長?



何でこの人がここに……。



私は、はっとして手で口を覆う。


…ううん。


理由は一つしかないじゃない……



大切な息子のピンチに、手を差し伸べにきたんだ。




恭はそれを分かっているのかいないのか、一向に動く気配がない。


それどころか、驚いた様子さえも見受けられない。




あたしの背中を一筋の冷や汗が伝う。



どうしようっ……



恭が…やられちゃうっ……



男が、恭の目前に迫る。


二人の視線が絡み合う距離にまで来た。




あ–––––



と思った瞬間。


あたしは目を見開いた。



恭が、男に向かって頭を下げていたのだ。




「お久しぶりです。」



「よぉ。でかくなったな。栗山んとこのどら息子が」



––––––––––––––え?