漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


恭の容赦ない拳が、葛原を捉える。


葛原は、強く壁に打ち付けられると、その場で力無く意識を失った。




……恭?


これで…終わったんだよね?



それなのに、拳を握り締めたままその場に立ち尽くす恭の表情は、なぜだか酷く弱々しく見えて、


今にも消えてしまいそうな気がした。



だからあたしは、彼の名を呼ぶ。



「……恭?」



彼は小さく肩を揺らすと、ゆっくりとあたしを振り返って、


少し寂しそうに微笑んだ。








–––––ギィィー…


金属の重い扉が開く嫌な音。



倉庫内に光が差し込む。



……ヘッドライト?


その光が眩しくて目を細める。


その光の中に現れる黒い影。


その影は、ゆっくりとあたし達の方へと向かってくる。



「あーあ。ひでぇ有様じゃねぇか」



……誰?



聞いたことのない、低くドスの利いた声。


草履を擦って歩く様な音。



近付いて来るほどに、徐々に姿が明らかとなってくる。



恰幅の良い体つき。


グレーの着物に黒の羽織を着た…中年の男性?


よく見ると右の頬に傷痕のようなものが見える。


後ろにガラの悪い男二人を引き連れて、妙な威圧感を放っている。



「てめぇらの頭はどこだ?」



その男は、一階にいる聖也さん達にそんな事を聞く。