葛原の腕に、あたしの歯が食い込む。
上がった悲鳴と同時に金属が地面に落ちて滑る音。
滝沢の持っていたサバイバルナイフが、鉄格子の柵の間から一階へと落ちていった。
「っ…お前っ!?」
「さすが。」
あぁ…。
あたしは何でこんなにも…
「さすが、俺の姫だな」
–––この人に魅せられるのだろう。
恭は、妖艶なオーラを纏い立ち上がる。
滴り落ちる血さえも、美しいと思った。
「栗山…なんでっ…」
葛原だけじゃなく、今度は滝沢も恐怖の色を浮かべている。
どこまでも、バカな人達。
「恭は、あたしを守るって約束した」
「…は?」
「そんな恭が、刺されたくらいであんた達なんかの前で簡単に跪くわけない」
「それだけで…?そんな事でお前はここまできたのか?もしこいつが本当に意識がなかったら、お前は俺らにヤラれんだぞ!?」
「あなた達みたいに、人を信じた事がない人には分からないでしょうね。
あたしは恭を信じてる」
恭は、例えどんな事があろうとあたしを守ってくれる。
そう信じているから。



