漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】



葛原の腕に、あたしの歯が食い込む。


上がった悲鳴と同時に金属が地面に落ちて滑る音。


滝沢の持っていたサバイバルナイフが、鉄格子の柵の間から一階へと落ちていった。



「っ…お前っ!?」



「さすが。」




あぁ…。


あたしは何でこんなにも…




「さすが、俺の姫だな」



–––この人に魅せられるのだろう。



恭は、妖艶なオーラを纏い立ち上がる。


滴り落ちる血さえも、美しいと思った。



「栗山…なんでっ…」


葛原だけじゃなく、今度は滝沢も恐怖の色を浮かべている。



どこまでも、バカな人達。



「恭は、あたしを守るって約束した」



「…は?」



「そんな恭が、刺されたくらいであんた達なんかの前で簡単に跪くわけない」



「それだけで…?そんな事でお前はここまできたのか?もしこいつが本当に意識がなかったら、お前は俺らにヤラれんだぞ!?」



「あなた達みたいに、人を信じた事がない人には分からないでしょうね。

あたしは恭を信じてる」



恭は、例えどんな事があろうとあたしを守ってくれる。


そう信じているから。