ザクッと肉の裂ける嫌な音がする。
「っ!!!恭っ…!!!」
葛原じゃない。
鷹牙を影で動かしている者。
葛原さえも操っている者。
「…っ!滝…沢…っ」
「勘違いしているのは、あなたの方ですよ。栗山さん」
恭の右の脇腹から血が滴り落ちる。
滝沢の右手に握られているのは、鋭利なサバイバルナイフ。
滝沢に刺された恭は、地面に膝から崩れ落ちていく。
あたしの全身の血が、引いていくのが分かった。
目眩がした。
耳の奥でキーンと嫌な音がする。
「…や…あ…」
視界がぼやけて、涙と一緒に声にならない声が口から零れ落ちる。
「茉弘ちゃんっ!!!」
気が付いたら、あたしは恭のいる前衛へと猛スピードで駆けていた。
「滝沢ぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!!」
階段を駆け上がろうとした瞬間、腹部に腕が回り強く引き止められる。
「行くなっ!!!大人しくしてろバカッ!!」
太一が、あたしを押さえながら必死でそう叫ぶ。
だけど、そんなのまるで耳に入ってこなくて、
心の中は滝沢に、恭にした事と同じ目に合わせてやる、とそんな真っ黒な気持ちが支配していた。
「離せっ!!!離せっ!!!!」



