漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】



「往生際が悪い。


今更、俺達が茉弘を疑うとでも?」



恭の右足が、葛原の背後の壁に突き刺さっている。


顔すれすれに通ったその足に、葛原は更に青ざめた。


葛原を見下ろす恭の目は、まるで汚いゴミでも見ているよう。




あたしは、何でこんなヤツを恐れていたんだろう?


汚い手ばかり使って、人を人とも思わないこの男。


潤を人質に捕られ、ずっとこの男に支配されてるような気持ちでいた。


なのに、今はこの男が酷くちっぽけなものに思える。




煌々と輝く龍の前に、身を縮めて震える鷹。




ううん。


こんなヤツ、鷹ですらない。


ちっちゃなちっちゃな、雛鳥だ。


雛鳥が龍に勝てっこない。



…本当にこいつがこの鷹牙を統べるものなの?




ふと、嫌な予感が過ぎった。




…もしかして…違う?




ドクンと脈が震え、冷や汗が滲み出す。



影で、このチームを操っている者がいるとしたら…?


!!!




「…だめ…」



さっきから、沈黙を守る一人の男。


葛原が合図を出さない限り、下手な動きをするはずかないとタカを括っていた。



違う。


こいつが黙っていたのは、恭の隙を窺っていたから。



「だめっ!!!恭!離れてっ!!!」