「往生際が悪い。
今更、俺達が茉弘を疑うとでも?」
恭の右足が、葛原の背後の壁に突き刺さっている。
顔すれすれに通ったその足に、葛原は更に青ざめた。
葛原を見下ろす恭の目は、まるで汚いゴミでも見ているよう。
あたしは、何でこんなヤツを恐れていたんだろう?
汚い手ばかり使って、人を人とも思わないこの男。
潤を人質に捕られ、ずっとこの男に支配されてるような気持ちでいた。
なのに、今はこの男が酷くちっぽけなものに思える。
煌々と輝く龍の前に、身を縮めて震える鷹。
ううん。
こんなヤツ、鷹ですらない。
ちっちゃなちっちゃな、雛鳥だ。
雛鳥が龍に勝てっこない。
…本当にこいつがこの鷹牙を統べるものなの?
ふと、嫌な予感が過ぎった。
…もしかして…違う?
ドクンと脈が震え、冷や汗が滲み出す。
影で、このチームを操っている者がいるとしたら…?
!!!
「…だめ…」
さっきから、沈黙を守る一人の男。
葛原が合図を出さない限り、下手な動きをするはずかないとタカを括っていた。
違う。
こいつが黙っていたのは、恭の隙を窺っていたから。
「だめっ!!!恭!離れてっ!!!」



