漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】



スッと息を吸い込み、ゆっくりと顔を上げる。



「潤は、あたしの弟よ」


葛原の表情から余裕の色が消える。


「あなたの好きにはさせない。あたしは、潤を必ず救い出す」


握られた手に力を込めると、聖也さんも光輝さんも握り返してくれた。


「あなたなんかに潤の自由を奪わせやしない。
あたしはもう、あなたに屈していた前のあたしじゃないから。
もうあたしは、一人じゃない。あたしは……」



恭が優しく微笑んだまま、小さく頷く。



恭…あたしやっと自信を持って言えるよ。





「あたしは、煌龍の姫だから」





初めて口にしたその言葉は、思っていたよりもスッとあたしの胸に収まって、


その中に温かい光を宿した。



あぁ…何だろうこの感じ。


昔、どこかで感じたことのある安心感。



そうだ。


あたしが小さかった頃。


まだ、お母さんお父さんが生きていて、


潤もいつも側にいた頃。


その時に感じていた…このなんとも言えない満ち足りた気持ち。



今なら何でも出来る。


そんな気がする。