スッと息を吸い込み、ゆっくりと顔を上げる。
「潤は、あたしの弟よ」
葛原の表情から余裕の色が消える。
「あなたの好きにはさせない。あたしは、潤を必ず救い出す」
握られた手に力を込めると、聖也さんも光輝さんも握り返してくれた。
「あなたなんかに潤の自由を奪わせやしない。
あたしはもう、あなたに屈していた前のあたしじゃないから。
もうあたしは、一人じゃない。あたしは……」
恭が優しく微笑んだまま、小さく頷く。
恭…あたしやっと自信を持って言えるよ。
「あたしは、煌龍の姫だから」
初めて口にしたその言葉は、思っていたよりもスッとあたしの胸に収まって、
その中に温かい光を宿した。
あぁ…何だろうこの感じ。
昔、どこかで感じたことのある安心感。
そうだ。
あたしが小さかった頃。
まだ、お母さんお父さんが生きていて、
潤もいつも側にいた頃。
その時に感じていた…このなんとも言えない満ち足りた気持ち。
今なら何でも出来る。
そんな気がする。



