「恭の動きは相変わらず素敵ねぇ〜!あの鉄パイプさばき、久々に見たわ♡あたしもアレで叩かれたい〜♡」
「聖ちゃん死ぬで。やめとき」
まったく…。
何でこの人達はこんなに緊張感がないんだろう?
あたしだけハラハラしてバカみたいじゃん。
–––
「なんだよ。時間稼ぎにもならねぇなぁ」
倉庫に響く、低く身の毛のよだつその声に、ドクッと大きく心臓が跳ねる。
直ぐにその声の出どころを探せば、
二階の手すりに寄り掛かり、あたし達を見下ろす葛原の姿。
怪しい笑みを浮かべながら、あたし達を見ている。
その顔を見ただけで、止められない怒りがあたしを支配し始めて、
気付いた時には、声を張り上げている自分がいた。
「葛原っっ!!!」
「よぉ。茉弘」
「潤を…潤を返してっ!!!」
「茉弘!落ち着きなさい!」
聖也さんが、今にも飛び出して行きそうなあたしの腕を掴んで止める。
そんなあたしの前に守るようにスッと立つ光輝さん。
「怒りに支配されちゃあかんで茉弘ちゃん。あいつの思うツボや」
分かってる。
あいつは、こっちの弱点があたしだという事を知ってる。
だから、あたしを挑発してくるんだ。
潤を使って…。



