恭は、いつだってそうやって先回りしてあたしに安心をくれるよね。
前も見ず突っ走るあたしが転ばないように、傷つかないように、いつだってさりげなく守ってくれる。
今はこの人に全てを託そう。
この人を信用することが、今あたしがこの人に出来る唯一の事なのかもしれない。
あたしは強く口を結ぶと、力強く頷いた。
──
「今日の夜から、本格的に動き出そうと思っています」
「……っ!」
詰め寄るあたしの腰に、恭はそっと手を回す。
「絶対に弟君を取り返してみせますから」
そっとあたしの頬にふれる恭。
その真剣な眼差しが、あたしの心を揺らす。
一刻も早く潤を助けたい。
だけど、恭が危険な目に遭うのは嫌だ。
そんな矛盾が頭の中で、グルグルと駆け巡る。
葛原だけじゃなく、滝沢も完全に要注意人物だ。
ううん。
ひょっとしたら葛原よりもたちが悪いかも。
昨日の光景が蘇ってくる。
あたしは、恭の右頬の傷にそっと触れた。
恭が傷付くのは……嫌だ。



