漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


恭は、いつだってそうやって先回りしてあたしに安心をくれるよね。


前も見ず突っ走るあたしが転ばないように、傷つかないように、いつだってさりげなく守ってくれる。


今はこの人に全てを託そう。


この人を信用することが、今あたしがこの人に出来る唯一の事なのかもしれない。



あたしは強く口を結ぶと、力強く頷いた。




──

「今日の夜から、本格的に動き出そうと思っています」


「……っ!」


詰め寄るあたしの腰に、恭はそっと手を回す。


「絶対に弟君を取り返してみせますから」



そっとあたしの頬にふれる恭。


その真剣な眼差しが、あたしの心を揺らす。



一刻も早く潤を助けたい。


だけど、恭が危険な目に遭うのは嫌だ。


そんな矛盾が頭の中で、グルグルと駆け巡る。


葛原だけじゃなく、滝沢も完全に要注意人物だ。


ううん。


ひょっとしたら葛原よりもたちが悪いかも。


昨日の光景が蘇ってくる。


あたしは、恭の右頬の傷にそっと触れた。


恭が傷付くのは……嫌だ。