「さ、ささ、さっきの電話、潤の件だったんじゃないの!?」
「ん?あぁ。聖也からです。葛原達の居場所が特定出来たみたいで、朝一で連絡くれました」
「ほ、ほんとっ!?」
思わぬ朗報に身を乗り出して、恭に詰め寄る。
そんなあたしに、恭は口元に笑みを浮かべて、ゆっくりと頷いた。
──昨夜、恭とテレビを観ている時に掛かってきた聖也さんからの一本の電話。
それによると、あの後あたしが拐われた鷹牙の隠し倉庫には、人一人いなくなっていたらしい。
「まぁ、端からあの場所に残るとは思ってなかったけど、案の定ですね。
とりあえず、場所を突き止める所から聖也に動いてもらっています」
そう恭は言っていた。
聖也さん達にかかれば、造作もない事だと恭は言うけれど、潤がどこにいるか分からないという事実は、あたしに更なる不安を与えたのは言うまでもない。
「あたし、こんな事してていいのかな?この間にも、みんなは潤を助ける為に動いてくれてる。なのに当のあたしはこんな……」
「いいんですよ。」
恭は、隣に座るあたしの頭を、自分の胸に引き寄せて言葉を続ける。
「茉弘はずっと、癒えない心の傷を抱えたまま一人で戦ってきたんです。その傷が少し乾いたくらいじゃ、また次の戦いに挑んだって自滅しに行くようなものです」
恭は、あたしの頭をポンポンと優しく撫でる。
「だから、俺は敢えてこうやって二人で過ごす時間を作ったんです。茉弘に少しでもホッとしてもらいたくて。例え不安に襲われてしまっても、俺がすぐに支えてやれるように」
「ま。単に俺が茉弘と二人の時間が欲しかったってのもあるけど」そう言って恭はいたずらっぽく笑う。
「みんなにもそう伝えてあるから、茉弘は何も気にする必要はないよ」



