漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


その時、あたしの中に不思議な感情が灯る。



「あっ……!待ってっ!」


咄嗟に、


本当に咄嗟に、恭の服の裾を引っ張っている自分がいた。


そんな自分に自分でも驚いて、思わずそのまま石の如く固まってしまう。



なに"待って"?


ねぇあたし。


なに"待って"!?



恭も驚いたのか、目をパチクリさせている。



「……どう……しました?」



「……あ。……や、その……」


この気持ちは何だろう?


上手く表現しようとしても、しっくりくる表現が見付からない。


ただ分かるのは、恭があたしに背を向けた瞬間に感じる……寂しさに似た感情。


「……恭、もう寝ちゃう?」


「……一応そうしようかと……」


「…………そっか」


ほら。


またキュウッと胸の奥が疼く。


あたし、どうしちゃったのかな?


恭は、いつだって側に居てくれるのに。


もう、恭と離れ離れにならなきゃいけないとか、考えなくてもいいのに。


前よりもずっと近くに感じるはずなのに、何だかあたしはまだ物足りなくて……。


随分欲張りになってしまったと、自己嫌悪さえ感じてしまう。