その時、あたしの中に不思議な感情が灯る。
「あっ……!待ってっ!」
咄嗟に、
本当に咄嗟に、恭の服の裾を引っ張っている自分がいた。
そんな自分に自分でも驚いて、思わずそのまま石の如く固まってしまう。
なに"待って"?
ねぇあたし。
なに"待って"!?
恭も驚いたのか、目をパチクリさせている。
「……どう……しました?」
「……あ。……や、その……」
この気持ちは何だろう?
上手く表現しようとしても、しっくりくる表現が見付からない。
ただ分かるのは、恭があたしに背を向けた瞬間に感じる……寂しさに似た感情。
「……恭、もう寝ちゃう?」
「……一応そうしようかと……」
「…………そっか」
ほら。
またキュウッと胸の奥が疼く。
あたし、どうしちゃったのかな?
恭は、いつだって側に居てくれるのに。
もう、恭と離れ離れにならなきゃいけないとか、考えなくてもいいのに。
前よりもずっと近くに感じるはずなのに、何だかあたしはまだ物足りなくて……。
随分欲張りになってしまったと、自己嫌悪さえ感じてしまう。



