失いたくない。
もう、誰も失いたくない。
大切な人がいなくなるのは、もう嫌だよ。
たった一人のあたしの家族なの。
生まれる前から一緒に居て、生まれてからもいつも一緒だった。
お父さんお母さんがいなくなっても、潤がいたから生きてこられたんだよ。
潤のいない世界なんて……
あたしは……
──────トン
肩に優しい衝撃が走って、あたしの意識は元の場所まで引き戻される。
振り返るとそこには、濡れた髪の毛に憂いを帯びた表情の恭が立っていて、振り返ったあたしの頬に優しく触れた。
あたしは、恭の顔を見たとたん、酷くそれにすがりたくなって、
恭の胸に顔を埋めて、恭の香りのするTシャツをキュッと握った。
そうすると、恭もあたしに腕を回して、優しく抱き締めてくれる。
恭ってあたしの心が読めるのかな。
いつも、あたしがして欲しい事が分かっているように動いてくれる。
ポタポタと恭の髪の毛から滴り落ちる水滴が、心地良い。



