「茉弘が鷹牙のスパイだということは、直ぐに分かりました。でも、なぜそんな事をしているのか。なぜ、危険を犯してまであの日俺に会いに来たのか。それはどうしても分からなかった。鷹牙のスパイだと分かっても、茉弘みたいな子が鷹牙に加担しているということ事態が、俺にはどうも腑に落ちなかったんです」
シーンとしている部屋に恭の話し声だけが響く。
恭は、深刻な顔から一瞬ふっと笑うと、話を続けた。
「そして、その謎が解けたのがこの前の大暴走の次の日。俺は茉弘の弟に呼び出されました。
そこで、やっと謎が解けたんです。茉弘が、危険を犯してまで俺に会いに来た理
由が、やっと分かった…。
とても府に落ちる内容でした。
茉弘はやっぱり茉弘なんだと、正直嬉しかった。だから俺は、百合や俊太や幹部の奴等にだけでも、茉弘の事は話すべきだと考えました。
こいつらなら、俺と同じように思うと思ったんです」
「最初はそりゃ驚いたよ?」
百合さんは、仕方ないでしょ?と言って笑う。
「まさか、よりにもよって、あの鷹牙のスパイなんだからさ。
でも理由を聞いて、"あー茉弘ならそうするよな"って。てかむしろ、"そうしない茉弘は茉弘じゃないよな"って思ったんだ。
大切な弟の為なんだろ?例え茉弘があたし達を葛原に売ったとしても、あたしは茉弘を憎めなかったと思うんだ」
百合さんは、優しく微笑んでそう言った。
「そうだよ茉弘ちゃん。俺らは全然怒ってなんてないんだ。仕方ないよ!きっと俺でもそうしてたよ」
春馬もあたしの顔を覗き込んで、優しく微笑んでくれる。



