「……茉弘。ごめん。みんな知ってたんだよ」
百合さんの大きな瞳が揺れている。
「……え?」
「あたし達も茉弘が連れ拐われる前から、茉弘が鷹牙のスパイだって知ってたんだ」
……知ってた?
「俺が、教えたんです。」
恭は、カウンター席のテーブルに寄りかかり、真っ直ぐあたしを見ながら口を開く。
「茉弘の弟が、全部話してくれました。
茉弘が鷹牙のスパイだという事も、なぜそんな事をしているのかも」
潤……が?
「いつ……から知ってたの……?」
「俺はわりと最初の頃から。その頃既に仲間内から反乱因子が出ていたのは知ってますよね?さすがに身元の分からない者を側に置くわけにはいかなかった。だから、悪いけど調べさせて貰いました」
良く考えたらそうだ。
頭の良い恭が、まんまと騙されるはずがない。
それじゃなきゃ、こんなに大きな族の総長が勤まるはずがないんだ。



