「……メリットとか、そういうんじゃない……。ただ俺は、茉弘に幸せになって欲しいだけだ。
だからあの時も、俺が葛原家の養子に行けばいいと思った。茉弘をヤクザの娘なんかにさせたくなかった。茉弘には、普通の幸せを手に入れて欲しかった……。
例え直ぐには見付からなくても、俺らに無関心な叔父と叔母に淋しい思いをさせられても。堅気でさえいれば、きっといつか幸せを手に入れられる。そう思ったから……」
俺は、座り込んだまま自分の額に手を当てる。
「でも、茉弘を思ってした行動が、結果茉弘を苦しめる事になるなんて……。」
そう。
その時の俺は知る由もなかったんだ。
「俺は高校入学と同時に、将生さんに半強制的に鷹牙に入れられた。
たまたまそれを知った茉弘が鷹牙の倉庫に怒鳴りこんできて……」
茉弘は言ったんだ。
自分の為に、俺が犠牲になるなんておかしい。
俺の笑顔を取り戻す為なら、自分は何でもするって。
「それで、葛原との契約を結んだ」
「……契約?」
「茉弘が煌龍に潜入して、煌龍の情報を洗いざらい手に入れて来る。その情報と引き替えに、俺を解放する。最悪、情報を手に入れられなくても、栗山の女にでもなれば、栗山を潰すのは簡単だと……将生さんはそう言った」
なぁ栗山……。
あんたはこれを聞いても尚、茉弘を側に置いておくのか?
「そうだよ。
茉弘はその契約の為に、あんたの姫になったんだ」



