「それは、葛原の意向?茉弘をスパイとして送り込んでおいて、情報を何も得られない事に満足するような奴には思えないな」
「……将生さんは、この事を知らない。今も、茉弘があんたらの情報をごっそり持って帰って来るのを期待して待ってるよ」
「……じゃあ、今お前は鷹牙を裏切ってる事になる。これお前に何かメリットがあんの?」
「…………」
栗山はそう言うと、俺の目を真っ直ぐな目で見詰めてくる。
これはこいつの癖なのか、それとも敢えてなのか。
その目は、嘘や偽りで誤魔化せるようなものじゃない。
本音を言わない限り、逃してはくれない。
心の内側まで入り込んで来る。
そんな目だった。
俺は、自然と一歩後ろに引いてしまう。
初めて人を怖いと思ったんだ。



