ここは丁度、煌龍と鷹牙の境目にあたる路地裏で、元々は沢山の小さな飲食店の密集地帯だったらしい。
その証拠に、夜だと言うのに点くはずのない壊れた看板がいくつもそのままになっていて、ビール瓶用のラックなんかも積み重なったまま置いてある。
今では全て空き家になっているようで、物音一つしない。
この辺りの二大勢力を隔てる境目に足を踏み入れたら、当然無事に帰ってこられる保証はないわけで、
わざわざ用もないのに、ここを訪れる者なんてそうそういるはずもなかった。
栗山は、壁に寄りかかって屈んでいる俺の隣に並んで、腕を組んで立ったまま同じように壁にもたれ掛かった。
「まさか、本当に一人で来るとはね。もう俺が誰だかは分かってんだろ?」
栗山は、落ち着いた様子でフッと笑うが、その目は少しも笑っていなかった。
何となくだけど、茉弘が居た時とは様子が違うように思う。



