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「どーも。」
ザッザッという音ととも近付いてくる足音。
俺は、人気のない路地裏でそいつと待ち合わせていた。
あの大暴走の後、自分の部屋に着いた俺のスマホに丁度一件の着信があった。
栗山 恭からの着信だった。
あの一瞬で、俺の番号を覚えたのはさすがだと思う。
どうやら、頭が良いという噂は本当のようだ。
俺は、趣旨は話さずにここで落ち会う事だけを栗山に提案した。
栗山は特に何かを問うわけでもなく、簡単にそれを承諾した。
将生さんの目を盗んで、栗山とこの路地裏で落ち会うのはそう容易なことではない。
将生さんは誰一人信用していない男だからだ。
副総長である俺でさえも。
将生さんは常に仲間の裏切りを警戒している。
そして、その裏切りを見付けた時には、もちろんただでは済まない。
"元"仲間なんて情はさらさらあるはずもなく、非情なまでの制裁を加える。
だから俺は、細心の注意を払ってこの場所を選んだ。



