そして、もし本当に本気で茉弘を守れるような奴なら……
託したかった。
自分の全てを犠牲にして生きていこうとしてしまうようなバカな姉ちゃんが、幸せになれるように、
俺なんかの事は諦めて、自分の幸せを一番に考えてしまうくらいに、夢中にさせてやってほしい。
それなのに、目の前の男は見るからに頼りなくて……
大丈夫かよ?
こんなんで茉弘を将生さんから守れんのかよ?
正直不安しかなかった。
だから、俺は一か八かの賭に出たんだ。
俺は栗山に頭を下げると、その隣をゆっくりと通りすぎる。
そしてその通りすぎ様、茉弘には気付かれないほどの小さな声で、
「080-****-**** 」
そう言って、何事もなかったように通り過ぎた。



