漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


*潤side*



───やっと来たか。



眩いばかりの光を背負って立っているその男の姿を見ながら、俺は安堵の溜め息を漏らす。


よく見るとそいつの通ってきた道には、恐らく倉庫の外の見張りだったであろう連中が、何人も地面に這いつくばって動かなくなっていた。


ゆっくりと俺達に近付いて来るそいつは、顔にも服にも血飛沫の飛び散った跡がある。



まさか、こいつ一人でこの人数を?


噂通り、只者じゃねぇな……。



「恭……」



今にも消え入りそうな声でそう言葉を漏らした茉弘の肩は、小刻みに震えていた。


後ろからだから定かではないけれど、きっと泣いているんだろう。



そいつは、そんな茉弘の前で足を止めると、地面に膝をつけ、困惑している茉弘を自分の胸に力強く押し込めた。



「きょ……」



「遅くなって、ごめん……」



まるで絞り出すかのようなその声色からは、色々な感情が混ざっているように感じた。



「……恭っ……無事……だったの?……」



「何ともないよ」



「……っっ」