あたしは潤のその言葉に再び大きく目を見開く。
「俺の尊敬してる姉ちゃんは、そんな面倒な事するよりも、後先考えずに気にくわない奴には真っ向勝負を吹っ掛けて、ボロボロの傷だらけになりながらも絶対に諦めたりはしない。そんな滅茶苦茶な奴だろ?」
そう言って潤は、あたしが取り戻す為に必死だったその笑顔を、意図も簡単に見せるもんだから、
あたしはもう泣くのを我慢する事なんて出来なかったんだ。
「うっうぅ~っ」
溢れてくる涙は押さえようもなくて、嗚咽を漏らしながら両手に顔を埋めるそんなあたしの頭を撫でながら、
「姉ちゃんは、何一つ間違ってない。
それでこそ、俺の姉ちゃんだよ」
そう言ってくれる潤のお陰で、あたしは恭を、煌龍のみんなを裏切らなくて良かったと心底思った。
あたしは、大きな勘違いをしていたのかもしれない。
潤を葛原から取り戻せば、必然的に潤の笑顔を取り戻すことが出来ると思ってた。
だけどさ、いくら自分の為とはいえ、人を騙して、裏切るような格好悪い姉ちゃんに笑顔になれるわけがないよね。
もしかしたら、ミイラ取りがミイラになっていたのかもしれない。
あたしは潤を捕らえる悪に立ち向かって、自分が悪に染まろうとしていたんだ。



