こだまする着信音。


その音が鳴ったと同時に、葛原の手がピタッと止まる。


そして葛原はチッと舌打ちをして、ズボンの後ろポケットからスマホを取り出し耳に当てた。


「……うるせぇ!!何だ!?

……あ?……あぁ。チッ、分かった。そっちで待ってろ」


葛原はスマホをしまうと、またあたし達に目を向ける。


「お前らの措置は後回しだ。最期に兄弟ごっこ出来る時間をやんよ」


葛原は、また不気味な笑みを向けてくる。


「あと、茉弘。一応言っとくが、ココは鷹牙の隠れ倉庫でな。鷹牙でも一部の奴ら以外に知ってる奴はいねぇんだ」


……そういえば、あたしが知ってる鷹牙の倉庫とは違う気がする。


もっと不気味で、寒気がするほどに殺風景だ。


「つまり、どういう事か分かるか?」


葛原は、あたしの顎を持ち、強引に自分の方へ向かせる。



「誰も助けなんて来ねぇってことだよ」


「……っ」


あたしの耳元でそう囁くと、葛原は青くなっているあたしの顔を満足そうに一瞥し、潤が入って来たドアから出て行った。