漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】




「よぉ。お目覚めかーい?ひひっ」



背筋に悪寒が走るような声が、真っ暗闇にこだまする。


その途端、バチンと辺りが明るくなって、その眩しさに目を瞑らずにはいられない。


やっと目が慣れてきた時には、あたしの目の前に置かれた椅子にそいつは座っていた。


「葛原……」


「久しぶりだな。茉弘。ちょっと見ない間に、またいい女になったんじゃねーか?」


葛原は、乱暴にあたしの顎を持ち、グイッと自分の方に引き寄せる。


「もう栗山とはヤったのか?」


唇は弧を描いているのに、目の奥が一切笑っていない。



ダメだ……


恭と居る間、ずっとあのほんのり茶色がかった透き通った瞳しか見ていなかったせいか、前よりもずっとこの目が怖いと思ってしまう。


人を人とすら思わない、自分の欲の為なら何だってする。


非道極まりない人間の……目。


この目を見ただけで、胃の辺りをかき回されるような気持ち悪さが襲ってきて、背中を一筋の嫌な汗が流れる。




あたし……戻って来ちゃったんだな……。


もうここには恭もみんなも居ない。


もう……会えない……。