漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


あたしは、ポケットからスマホを取りだし、時間を確認する。


只今、夜の8時を回った所。



夜が更けるにつれて、どんどん気温が下がっているようで、ここにある様々なバイクからは湯気が上っていた。



あたしはブルッと身震いする。


去年までは、自分がこんな所に居るなんて想像すらしなかった。


それもクリスマスにね。


ここに居ると、クリスマスってことすら忘れそうになる。


でも、不思議と嫌じゃない。


あの、叔父さん叔母さんの居る家で、真っ暗な部屋にポツンと一人、窓から見える近所のクリスマスツリーを眺めているよりずっと素敵なクリスマスだ。


お父さんお母さんが亡くなってから、潤と一緒にずっとそんなクリスマスを過ごしてきた。


でも、今は違う。


沢山の大好きな人達が、今ここに居て、


大切な人がここに居て、


あたしは、そんな皆とここに居る。


やろうと思えば、自由にどこへだって行ける。



───ふぅ……


あたしは、小さく溜め息をつく。


ううん。


まだ、違う。



本当の自由は、潤を取り戻してからだ。