【 ? side】



……寒い。

おれ、死ぬのかな。



年が明けてから2日、夜。

繁華街は近くの神社から流れてきた初詣客で賑わっている。

空から綿毛のような雪がふわふわと舞い落ちて、少年の髪を白く染める。



「水川真梨、また雰囲気変わった?」

「なんか柔らかくなったよなー」



路地裏で蹲り、小さく震える少年を視界に入れることなく二人組の男が通り過ぎていく。



水川真梨……いつも、街の噂の中心にいる人。

一度だけ見かけたことがあるけど、とても綺麗な人だった。

ああいう人を美しいって言うのかな。

なんて、おれには関係ない話。



吐いた息が白く染まる。

まだ生きてるんだって、わかる。

なんか眠い。

寝たら、死ぬかな。

それもいいかも……。

死んで生まれ変わったら、もう少しマシな人生になるかも……。



少年はもう一度息を吐き出すと、蹲ったまま腕に顔を埋め、まぶたを閉じた。