クッキング用品が所狭しと並ぶコーナーの一角。
たくさんのクッキー型が陳列されている。
「星那、どれにする?」
「たくさんありすぎて……」
こんなに多くのクッキー型は見たことがないのか、驚いて目をパチパチさせている星那が愛らしい。
「いろいろあって迷っちゃうね。ん~、あたしはハートにしようかなぁ」
ハート型を手に取る。
もちろん蓮にあげる用だ。蓮以外のみんなには星那が選んだもので作ることにしよう。
「お花とかクマとか……あ、星形もあるよ?」
決められず視線を彷徨わせる星那に型を指さしながら声をかける。
「星……」
星形に視線を定めた星那の瞳がキラキラと輝いて見えた。
「星那の形だね」
「え?」
「ほら、星那って名前、“星”が入るでしょ? だから“星”は星那の形だよ」
「…………」
星那は何も言わず星形を手に取って大事そうに胸元で握りしめる。
「レジ行こっか」
そう言うと、星那はコクンと頷いた。



