愛して。Ⅲ


クッキング用品が所狭しと並ぶコーナーの一角。

たくさんのクッキー型が陳列されている。



「星那、どれにする?」

「たくさんありすぎて……」



こんなに多くのクッキー型は見たことがないのか、驚いて目をパチパチさせている星那が愛らしい。



「いろいろあって迷っちゃうね。ん~、あたしはハートにしようかなぁ」



ハート型を手に取る。

もちろん蓮にあげる用だ。蓮以外のみんなには星那が選んだもので作ることにしよう。



「お花とかクマとか……あ、星形もあるよ?」



決められず視線を彷徨わせる星那に型を指さしながら声をかける。



「星……」



星形に視線を定めた星那の瞳がキラキラと輝いて見えた。



「星那の形だね」

「え?」

「ほら、星那って名前、“星”が入るでしょ? だから“星”は星那の形だよ」

「…………」



星那は何も言わず星形を手に取って大事そうに胸元で握りしめる。



「レジ行こっか」



そう言うと、星那はコクンと頷いた。