愛して。Ⅲ

数十分後、あたしと星那は光を護衛に引き連れて近所のスーパーへと来ていた。



「星那、何が食べたい?」

「……なんでもいい」

「うーん」



それが一番困るんだけどなぁ。

小学2年生の男の子はどんなお菓子が好きなんだろう?
とりあえずお菓子売り場へ行き、何を作るのかイメージしていく。

「チョコレート系のお菓子は定番だし、クッキーとかキャラメルも作りやすいよ」

私の言葉に反応したように、星那が「クッキー」と呟いた。

「クッキー、好き?」
「…………うん」

長い沈黙のあと、小さく呟いた。

「じゃあ、クッキーにしよう」

クッキーなら材料を混ぜるだけで比較的作りやすいし、型抜きも楽しめるだろう。焼いたあとにデコレーションもできる。
それならば、とそばにいた光に声をかける。

「ね、光」
「なんだよ」
「100均も連れてって」

甘えるように下から覗き込んでお願いする。

「な、なんで……や、やだよ、めんどくせえ」
「だってクッキーだよ? かわいい型、買わなきゃ」

ね?と星那を見る。
星那は訳がわからない様子で戸惑いながらも頷いた。

「よーし、材料買ったら100均ね!」
「はあ……」

光のため息が聞こえた気がするけど、気にしない。
あたしたちはクッキー作りの材料を一通り購入すると、100均へ向かった。