「エルロス中尉、答えはNOだ」
 スカーレットは持っていた銃でエルロスの頭を撃ち抜いた。自分の過去と決別する為に。
 味方であるはずのレイチェル王女が自国の軍人、エルロス中尉を殺した。やはり、彼女は似ているだけの赤の他人なのかという疑念がイカルガ軍人の心に沁みこみだし、再び戦闘が始まった。
 エルロス中尉を殺された憎しみと、スカーレットがレイチェルに似ていることから、裏切られた気分になったイカルガ軍人は、殺意を弾丸に込めて解き放つ。

 ヴァイナー歴五九八年 ノルイの月 第一八番目
 リベレイションがイカルガ軍人を使い、ラスール帝国の学校で行った大量虐殺は三日間にわたり行われた。
ラスール帝国の研究員二四名、学校関係者二〇〇名が死亡した。
リベレイションはラ・モールの強奪に失敗し、此の戦いはラスール帝国の勝利に終わった。

過去と決別し、未来(さき)に進むことを選んだ。もう二度と、過去は振り返らない。そう、心に決めて。
けれど、どんなに決別しても、過去はなかったことにはならない。
存在する過去は既に狂っているはずの私達の運命を歪めていった。
誰にも運命には勝てない。