やっと、この異常空間から解放される~。

心底ほっとしつつ、私は、腕時計に視線を走らせた。

12:00ジャスト。

――うわっ、やばっ!!

高崎さんはけっこう時間にきちっとした人だから、遅刻はタブー。

一度、事故渋滞にはまってデートに15分遅れたときには、『余裕を持って出るように』と叱られてしまった。

銀行員なんて仕事柄、時間に厳しいのだと思う。

チン。

――着いた!

私は、扉が開くと同時に、破廉恥カップルには目もくれず、猛ダッシュで、恋人の待つレストランへと駆けだした。