本当は知っているんだ。
雨の日になると、あなたがそわそわして上の空になるわけを。

雨の日に出逢ったあの人のことを考えているんでしょう?お互いに気持ちを残したまま、確かな約束もできずに、雨の日に別れたあの人のことを。

雨が降る日には、あの場所に行けばあの人に会えるかもなんて、考えているんでしょう?



「雨なんか、キライ。」

雨音しか聞こえない部屋で、あなたの世界から放り出された私の声は、あなたには届かない。

「雨なんか、降らなきゃいいのに。」

さよならと言って部屋を出る私を、あなたは引き留めもしなかった。


本当は知っているんだ。
あなたが、雨が降るのを待っていることを。
晴れた日も、あの人を想っていることを。


せめてあなたの部屋に私がいた跡を残したくて置いてきたのは、あなたがプレゼントしてくれた赤い傘。

あなたはもう、そんな事、忘れちゃったかな。